ポル・ポト―ある悪夢の歴史



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ポル・ポト―ある悪夢の歴史
ポル・ポト―ある悪夢の歴史

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普遍的な警告

最近は共産主義への風当たりが強く、
ポルポト(サル)なんかは格好の攻撃(?)材料と思うが、
本書のように詳細なレポートにあたれば、
コトはそんなに単純じゃないことが良く判る。
社会制度のせいではないんだな、と。
確かに、訳も悪く、相当読みにくいし、
量も多いので一読後では内容の詳細は殆ど頭に入らないが、
虐殺が醸成された背景を納得できる内容になっている。

訂正不能な負のスパイラルを生み出す過程が、
多少の大げささと、演出をもって語られている。
(もうちょっと演出が控えめでも良かったが)
はっきりいって全く期待せずに読み始めたのだが、しかし、見事な構成である。
ポルポトを簡単に批判するではなく、
ネチネチと人間的、能力的な欠陥を攻め上げているように感じたが、
簡単に批判しないことが、
かえって普遍的な問題としての「虐殺」の本質を突いているように感じられる。

冒頭の前書きだけでも、ガツンとくるインパクトがある。
全くの私的な感想だが、怠慢や利己を許す人間の繋がり、コミュニティのなかで、
真に忌むべき悪意が生まれることを、この本は伝えていると思う。
(うまく言えないので大袈裟な書き込みになってしまった)

他と読み合わせる必要あり

本書の最大の特徴は、典拠の資料として、政権の中枢にいた当事者へのインタヴューを利用している点です。それは、ポル・ポトや民主カンプチア政権に関するこれまでの書籍の著者らが望んでいても果たせなかったものです。しかしそれが、従来の書籍に比べて特別な力を与えたように感じられなかったのが残念です。ストーリーテラとして、わかりやすさを優先した結果でしょうか?
ポル・ポト時代に至る前の、シハヌーク時代のカンボジア国内の状況についてかなり詳細に記述しています。この意味で、ポル・ポト政権の「したこと」だけでなく、その「歴史的背景」を視野に入れ、全体像を捉えようとした意欲がみえます。
訳はあまり評価できません。地名や人名について通常とかけ離れた表記があり、カンボジア関連の他の書籍と対照させる上で面倒です。ほか、1997年を1977年と記すなどのミスがあります。

ひるがえってカンボジア以外を考えさせられる

かのカンボジアにおけるクメール・ルージュによる未曾有の大虐殺、その張本人である
ポルポト(サロト・サル)の評伝。いきなり幼少時代の記述が始まるので、そもそもを知ら
ない人には入って行きづらい構成です。訳者解説から読むのを推奨中。

いまだ存命の関係者へのインタビューなど膨大な取材に基づいて、これまでの類書を超
えた決定版となっています。ブ厚いですけど。
そこで描かれるのは、無垢な善意とおそるべき無能。
結果として、誤った社会政策(ないしは社会政策の不在)と現実よりも理念を優先すること
により、多くの人命が失われ(つーか惨たらしく殺され)、より多くの人間性が(加害者側
も含めて)破壊されました。

サロト・サル個人の遍歴を追う構成になっているので、例えば懐かしの本多勝一などによ
るルポなどと比べて評論的な部分や背景的な解説は少ないんですけど、むしろ、かえって
視野がひろがる部分があります。
無垢(で幼稚)な善意と、難しい理念を生半可に理解したつもりの夜郎自大と、そして
びっくりするくらいの現実対処能力のなさ・・・これって「歴史」としての「民主カンプチア」
を評価するなら、そりゃそうかもしれませんが、でももし自分が同じ状況の中で同じ立場に
立たされたなら、一連の経緯のどこかで殺されてるのは確実でしょうが、有能であった自信
なんかないッス。つーか、正しく狡知にたけ、理念の背景も飲み込み、それでいて現実的に
有能でありえる人なんか、誰かいるんか、とか思えます。
(ポルポトを弁護しているのでは全くありません)

かえって、こうした恐るべき善意と無能を免れえた事例(大部分の諸国)がどーして可能
だったのか、それこそを改めて考えなきゃいけないようにもおもいます。
その意味で、物理的にではなく、「重い」一冊かと。



白水社
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